自動車の所有者が死亡した場合の移転登録手続について説明します。
自動車の所有者が亡くなった場合、所有者の名義を変えておく必要があります。
その理由は、道路運送車両法により、所有者変更の事由があった日から15日以内に移転登録申請を行うこととされているためです。
この申請をしない場合、50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
所有者の名義を変えずに自動車を使うと、以下のようなデメリットもあります。
- 後日、相続人で遺産分割協議を行わなければならない場合がある
- 車を売却したいと思っても自由にできない
- 廃車する場合も、様々な書類が必要になることがある
名義変更に際しては、相続人が1人である場合を除き、まず相続人全員で遺産分割協議を行います。
遺産分割協議がまとまれば遺産分割協議書(又は遺産分割協議成立申立書)を作成します。
その他、運輸支局や自動車検査登録事務所に提出する書類には以下のもの等があります。
- 移転登録申請書・自動車検査証記入申請書
- 被相続人の除籍・改製原戸籍謄本(3ヶ月以内)
- 相続人全員の戸籍謄本(3ヶ月以内)
- 相続人全員の印鑑証明書(3ヶ月以内)
- 遺産分割協議書または遺産分割協議成立申立書
- 自動車検査証
- 自動車保管場所証明書(車庫証明書)
- 手数料納付書
ここで注意するのは、戸籍や印鑑証明書の有効期限です。
3ヶ月と短いため、不動産や預貯金の相続手続で時間がかかった場合は、有効期限が切れる場合があります。
提出先が多い場合は、余分に除籍などを取得しておくことも検討しましょう。
遺産分割協議成立申立書は、自動車の価格が100万円以下の場合に利用できます。
相続人のうちの1人から、以下の文言を添えた申立書を提出することになります。
被相続人の死亡により、被相続人所有の上記自動車について民法の規定に基づき遺産分割協議を行ったところ、私が上記自動車を相続することに協議が成立したので申し立てます。
また、当該移転登録について、本申立書により申請する旨同意を得られたので今回の申請に及びました。
なお、本申立について問題が発生した場合は、私が責任をもって処理し、貴職には一切ご迷惑をかけないことを誓約いたします。
添付書類としては、自動車の価格が100万円以下であることを証明できる査定書等が必要です。
虚偽の申立をした場合は罰せられますので、きちんと協議が成立した上で作成しましょう。
なお、相続人と被相続人の住所が異なる場合は、自動車保管場所証明書(車庫証明書)も必要です。
移転登録をした際は、自動車税・自動車取得税の申告も忘れないようご注意ください。
車の所有者の名義変更や車庫証明書の取得は、行政書士が代理して行うことができます。
ご自身でお手続きが難しいと感じられる場合は、お近くの行政書士へご相談ください。
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